潜水座 

革ジャンにサンダル

役者とは “メッセンジャー” である

time 2014/03/02


舞台上に存在するものは、
人にかぎらず全ての物が
絶対的な意味を持ってそこに存在しています。

いや、意味を持って存在していなければなりません。

自分の指先を1ミリ動かすだけでも
何らかの「意味」をもってしまうということ。
動かないということにすら意味がある。

余談ですが多くの役者は、この

「動かない」

というのが絶望的に下手です。

つい動く。
不安で、怖いから動く。

 

何百人、何千人というお客さんの目線が
指先の末端神経にまで
張り巡らされているという感覚。

それはある種の“鎖”です。

ほとんどの人はこの鎖にからめ捕られ
それをヘタに振り解こうと

「もがき」ます。

 

ただ結論から言えば、最終的にはこの鎖を
引き千切る必要があります。

お客さんは

鎖に“囚われた”人間

を観るためにわざわざお金を払って
劇場にやってくるわけではないからです。

ですが問題は、この鎖をいかにして引きちぎるか?
そのやり方が非常に重要でして。

 

まず大前提として、 この

“鎖にからめ捕られている”

という感覚。

これは「正しい」んです。
問答無用で正しいです。

むしろ、そうじゃない方が異常なんです。

 

たくさんの人に見られることが
何よりの快楽だ、と言う人がいます。

快楽以外の言い方をしてもいいですが、
とにかくそういう人。

そして一見、こういう人は
役者に向いているんじゃないか、
と思ってしまいますが。

ですが、はっきり言ってそれは無いです。
むしろ真逆で、こういう人は役者に向いてません。

もちろん、ある程度役者としての経験を経ると
「舞台に上がることが快感」
という気持ちは起こるものだと思います。

それはわからなくもありません。

ただね、

何というか、うまく言えないのですが
私はですね、舞台上での行為全てが

 

「はじめて好きな人に告白をする」

 

 

あの死にたくなるような
生きていてよかったと思えるような

あの感覚、
あれほどの熱意と張力を持ってないと
ダメだと思うんですよ。

 

怖いじゃないですか。

それって当たり前じゃないですか。

だって好きだから当たり前じゃないですか。

 

これが「怖くない」って、
逆にすごい「怖っ」というか。

「怖い、けど言う。言わないと死ぬ」

これが、この張り裂けんばかりに
バキバキに張りつめたテンション(張力)。

これってそこの“ジレンマ”からこそ
生み出されるものなんですよ。

「告白するのが気持ちよくて仕方ない」

こんな奴とは絶対付き合いたくないどころか、
友達にすらなりたくないですよね。

 

2つのものに引っ張られること。

コミュニケーションって、糸電話みたいなもんです。

このテンション、張りがありきなんですよ。
張ってないと伝わらない。

 

ヘンに見えてないかな。

“イタイ奴”になってないだろうか。

失敗して笑われたらどうしよう。

 

これ、ダメですよ。もちろん。

ダメなんだけど、

「これじゃ役者としてダメだから改善だ!」

的なノリでこの鎖を千切るのは
もっともっとダメなんです。

 

だってそれ、

ものすんごい「他人事」じゃないですか。

ナニその「役者として」って。

 

それはもう、人間ではないから。
もはや化け物と言ってもいい。

それは役者のエゴであり、
“役”ですらない、異形の怪物です。

 

お客さんは“役”を観に来ます。

もっと言うと、
役に自分自身を重ねあわせるために
劇場に足を運んでくれます。

つまり、

本質的には“役”というのは
お客さんがつくり上げるもの。

 

役者というのは、あくまでも

“メッセンジャー”

に過ぎません。

 

ただ当然ですが、かといって
プライドを持つな、意思を持つな、
ということではないです。

右から左へセリフを垂れ流しときゃいい、
ってわけでもないです。

言うまでもないことですが。

 

メッセンジャーである以上
「届けなければならないもの」
があるわけです。

それは言うまでもなく
台本であり、作者の意図です。

そう。

役者として込めるべき熱意というのは、
台本や作者への敬意
なんですよ。

それありき。

そして次に、その共同制作者としての
共演者、スタッフへの敬意。

 

メッセンジャー。

つまり “媒体” “媒介” 足りうるためには
どこまでもニュートラルなクリアさが必要です。

そしてそのニュートラルを体現するためには、
素直さがやっぱり必要です。

 

 

rr

down

コメントする




Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.







更新情報

follow us in feedly


プロフィール

わんわん>私

主な事業は、ダイビングショップ経営、アウトドア用品の製造販売、輸出入業、介護福祉施設の運営など。ライフワークは演劇とものづくり。