演劇のチケット代って高いよね?
知り合いがやってる劇団で、なんかお客さんから「チケットの値段がたけーよ!」って言われたらしく本人めちゃめちゃヘコんでました。笑
自分はよく思うんですが、演劇のチケットの値段なんか試しにどんどん値上げしてみればいいんですよ。
友人知人、身内なんかの「つきあい客」が全く来なくなるレベルまで。
つきあい客ばっか入れてるから、たかが2000円3000円のチケット代で「たけーよ」って言われちゃうんだよ。
いっそチケット代を一万円ぐらいにしてしまえばいい。
で、それでも何かの間違いか何か?で一人か二人ぐらいのお客さんが来たとしよう。笑
そしたら、その時に自分たちの演劇のレベルが痛いほど分かるじゃないですか。
いやーもしかしたら死にたくなるかもしれないですけどね。
「えっ・・・マジで一万円払って来てくれたの?」
「だってプロの舞台のチケットより高いんだよ?」
「ってことは・・・」
「俺ら、プロ以上の舞台をやらないといけない・・・?」
ってなりますもんね、普通は。
でも、これってメチャメチャ痺れるじゃないですか。
だって目の前の人は一万円払ってて、でもってその人に今から一万円分の対価をお支払いしないといけないんですもん。
「払えるのか、俺?」
自分はすごい思うんですけど、
「払える、俺?」
「払える、私?」
この問いかけをし続けるということ、この緊張感こそが人間を育てるもんだと思うんです。
だから、もう最初っから「この舞台の価値は一万円!」と宣言しちゃう。
そしたら、否が応でもお客さんに「一万円の対価」を払わないといけなくなりますよね。
そこでやっと、「今、自分が持っているもの」が把握できるわけじゃないですか。
自分たちが今から「一万円の舞台」をやらなくちゃいけない状況。
当然、自分たちに何ができるかを死ぬ気で考えるわけです。
もしかしたら、
「あ、俺らには無理だわ」
「どう絞っても3000円ぐらいしか出てこねーわ」
ってなるかもしれない。
でも、それこそが「棚卸し」になるんですよね。
そこでやっと、自分たちの持っている価値を正確に把握できるわけです。
今以上の価値を提供しようと思った時、この棚卸しをしなきゃ何も始まらないんですよ。
でもそういう感覚を持ってる舞台人ってあんまりいない。
これってね、いつもどおりの、知り合いが付き合いで来てくれる、2000円とか3000円の舞台を繰り返してたら永遠に身につかないことなんですよね。
よくさー、「芸術はお金とは切り離すべきだ!」「お金じゃ測れないのがゲイジュツ」とか言う人いますけど。
ほんと、芸術家としても人間としても未熟で幼稚だなと。
てめーがどういうスタンスでいようが勝手ですが、お客さんはお金を払って劇場に足を運んでくださるという事実は変えようがないんですよ。
つまり、お金と向き合うというのはイコールお客さんと向き合うということでもあるわけで。
それが出来ない自称アーティストは生き残れなくて当然。