レザークラフト用のミシン選び(後編)

mitsubishi dy340

前編に引き続き、レザークラフト用のミシン選びということで。

後編の今回は、具体的なミシン選びのポイントを解説。

 

革を縫うミシンの種類

まずミシンには

・家庭用
・職業用
・工業用

この3種類があります。

 

んで、革を縫うミシンというのは

工業用

というジャンルに分類されるわけですね。

 

でもってその工業用の中でも
レザーを縫うに適した物とそうでない物があり
選ぶにあたっては注意が必要です。

 

家庭用ミシンでも革が縫える?

いやいや、工業用ミシンじゃなくても、家庭用や職業用でも革が縫えるぜ!という話もありますよね。

コレ確かにね、「ある程度まで」なら縫えたりするのも事実ですよ。

ネットで調べても家庭用ミシンで革を縫った方の記事だったり、職業用ミシンでレザークラフトされている方のブログだったりが目に入ると思います。

 

私も別にそういう方を否定するわけではないですが、あくまで「今からレザークラフト用のミシンを買おうと思っている方」に向けて、という話ならば、わざわざ家庭用ミシンや職業用ミシンを買うなら、どうせなら最初から工業用のレザーミシンを買っちゃったほうが良いんじゃないかなと思うんですよね。

その理由はいくつかあるんですが、家庭用・職業用と工業用ミシンの決定的な違いとして

  • 太い針が使えない
  • 太い糸が使えない
  • 太い糸が使えても糸が締まらない
  • 革をしっかり送れない(縫いズレが起きる)
  • 革を貫くパワーが無い

という点が挙げられます。

 

で、家庭用・職業用で革を実際に縫っている方というのは、上記の点を「何とかして」克服できるような加工をミシンに施しているか、それかミシンに大きな負担をかけてムリヤリ革を縫っているかのどちらかです。

中でも、革をしっかり送れない(縫いズレが起きる)というのは家庭用や職業用ミシンでは絶対に克服できない点であり、それらのミシンで今は何とかレザーを縫えていても、いずれはこの「送り」の問題にぶち当たる事になります。

 

職業用ミシンなら太い針も太い糸も調整によっては使えない事はありませんし、パワーも工業用ミシン用の物を取り付ければ解決は可能ではあります。

ただ、ぶっちゃけ「そこまでするなら工業用を買った方が安上がり」だったりもしますから、そのあたりはしっかりと考えた上でミシンをチョイスすべきかと思います。

 


“腕ミシン” か “平ミシン”か?

 

で一口に工業用ミシンといっても、布用なら布用。革など厚物にはそれ専用のミシンがあります。プロが使う工業用ということは、それだけ専門のジャンルに特化したマシンだということなんですね。

なので、下調べもなく安易にヤフオクとかで単純に「工業用ミシン」を買ってしまうと、それは工業用ミシンではあるけどもレザーには向かないミシンだったりして痛い目を見ます。

 

腕ミシン

まず、革用のミシンというと「腕ミシン」を思い浮かべる方が多いと思います。その名の通り、腕のような形状をしているので「袋物や狭い個所が縫える」という特徴を持つミシンですね。

dsu1457

 

結論から言うと、とにかく1台で何でも作りたいという方はこの腕ミシンを選ぶべきです。

理由は単純で「平ミシンでは縫えない所も縫えるから」。

 

具体的には、

・袋物
・マチ

などは平ミシンでは厳しいんですね。
そういう所も難なく縫えるのが腕ミシン。

dsu1427_1447_1457_142_144n_145_1

 

ただ欠点としては

・直線を縫うのは苦手
・慣れが必要
・高額

という面があります。

 

平ミシン

これはオーソドックスな、いわゆる普通のミシンですね。

DU-1181N_E

 

腕ミシンには無い良さとしては、先述の通り

・直線が縫いやすい
・比較的安く買える

という点があります。

 

先にもう「腕ミシンがおススメ」と言ってしまったのですが、道具にはやはり向き不向きがあります。

 

というか、ぶっちゃけ私はほぼ平ミシンしか使わないんですよね。

平ミシンで縫えない場所はどうするのか?というと、そういう所は潔く手縫いにしてます。

 

平ミシンってね、縫ってて楽しいんですよ。

革をペタンと置いて、手は桜木花道のように「添えるだけ」であとはもうペダルを踏めば戦車のようにダダダーーーっと縫い進んでくあの感じ。

 

いや、もちろん腕ミシンも縫ってて楽しいのは楽しいんですが、真っ直ぐ縫うのに結構神経を使いますしね。

 

 

“送り”の違い

 

さて。ここからの説明は非常に大事。

腕ミシンと平ミシン。その形状の違いもさることながら、革を縫うミシンというのは“送り”が違います。

 

家庭用ミシン含め、普通のミシンは下の歯だけが動いて生地を送る「下送り」です。

この下送り、普通の布地を縫う分には良いのですが

・厚物をしっかり送りきれない
(縫いピッチが狂いやすい)
・滑るものを重ねて縫う際、縫いズレが起きる
・滑りにくいものも、同じく縫いズレる

という面があるため、革を縫うには向いてません。

 

じゃあ革用ミシンはどんな送りなのかというと。

上下送り

これはその名の通り、下の歯と上押さえ両方が動き、ガッチャンガッチャンと強制的に生地を送る機構です。上下の動きは連動しているため(意図的にずらすことも可能)縫いズレが起きにくいというわけ。

送りのパワーも強いので、革などの厚地もしっかり送ってくれます。私の愛機、三菱DY340もこの上下送りですね。

 

総合送り

この総合送りというのは

・上押さえ
・針
・下の送り歯

これら全部を動かして
超強力に生地を送る機構です。

 

先述の上下送りに加えて
「針送り」
も加わったということ。

 

お察しの通り、これが最強のミシンではあるんですが、上下送りミシンよりも若干高額になることと、機構が複雑なので大きく重くなることが欠点といえば欠点。

予算的・場所的に余裕があるならコイツを選ぶべきですが、まあだからといって上下送りが総合送りよりショボイのか?というと、もちろんそんなことはないですよ。

私が上下送りミシンを使ってるから・・・というわけではないですけども、「上下送りだと送れなくて、総合送りなら送れる」 そんなハードなケースというのは、趣味の範囲の革細工ではほぼ無いのかなーとも思います。

 

 

まとめ

とりあえず1台選ぶなら?

予算が許すなら、ズバリ

総合送り腕ミシン
(もしくは上下送り腕ミシン)

ですね。

 

この総合送り腕ミシン、お値段としては

・国内メーカ新品(サーボモータ新品):40万円ぐらい
・海外メーカ新品(サーボモータ新品):30万円ぐらい
・国内メーカ中古(中古サーボモータ):15~20万円
・国内メーカ中古(中古クラッチモータ):10~15万円

という価格帯になるかと。

 

で、出来るだけ予算を抑えたい、袋物とかマチとかは手縫いで済ますから、とりあえず「長い直線縫い」だけでもミシンで縫いたい!という方でしたら、私と同じく「上下送り平ミシン」が割と安くてお勧め。

 

腕ミシンにしても平ミシンにしても、安く済ませようと思うならば、格安のミシンをしっかりしたミシン屋さんで買ってきて、自分で新品の中華製サーボモータに換装してしまうのがおすすめですね。

※ちなみにミシンのモータって超絶重いのでお気を付けを。

 

私が使ってるのはこちら。

 

このモータ、私の使用頻度こそ低いものの3年ほど使ってノートラブル。ちなみに上位版に針検出器付きのモデルもありますが、 私は特に必要性を感じなかったのでコレ選びました。

 

平ミシンを選ぶなら

上下送りの平ミシンってかなり市場に出回ってるので、わりと選択肢も多いです。

その中でも私の使ってる三菱のDYシリーズは、ベストセラーなだけあってタマ数も非常に多く、「押さえ」とか「送り歯」などもたくさん出回ってて新品パーツも多いので、そういった面では安心かと。

あ、ただ割と新しいDY350は自動給油仕様と思いますので、 部屋がオイル臭くなったりがイヤな方は避けたほうが無難かもしれません。(DY340までは手動給油)

 

 

と、いうわけで。

2回にわたって革用のミシンを解説してきたんですけども、我々のように趣味としてレザークラフトを楽しむ人にとって、やっぱりミシンがあると作品作りの幅が広がります。

あとは単純に作業がラクになるので、フットワークも軽くなって作品作りのペースも上がりますよね。

 

個人的には、置くスペースと懐事情さえ許すならば、ぜひ一度ミシンを手にしてもらいたいです。