レザークラフト用のミシン選び(前編)

 

レザークラフト用の工業用ミシン

突然ですがミシンを買いまして。

買ったのは工業用の上下送りミシン、三菱DY340

 

やっぱりね、レザークラフト(手縫い)をやりだしてしばらく経ち、カバンなどの大物含めてある程度の作品を普通に作れるようになってくると「ミシン」が欲しくなってきますよね。

 

まあこれも人によるとは思うんですが、手縫いに慣れて鞄とか作り出すと、「持ち手」とか「ジッパー」とか、そういう長い距離の直線を延々縫っていくというのが非常に面倒に感じてきたりするじゃないですか。

特に私なんかは「手縫いじゃなきゃダメだ」みたいなコダワリもそんなに無いですし、というか手縫いしたい時には手縫いやればいいわけで、別にミシン持ったからと言って手縫いをやめてしまうわけじゃないですし・・・という言い訳が揃った所で遂にミシンに手を出してしまった、というわけです。

 

というわけで今回は「レザークラフト用のミシン選び」ということで、今回私が購入した工業用の上下送りミシンの買ってよかったポイント・あと革用ミシンを選ぶ際のポイントなどを前篇後篇に分けてお伝えしていきたいと思います。

 

ミシンの良さ

さて、まずはミシンを買ってよかったなーと思うポイントから。

 

圧倒的な作業スピード

まあ当たり前なんですけども、ミシンなら手縫いとは比較にならない速度で作品を作れます。

これ単純にラクだという事もそうなんですが、作業時間と労力が少なくて済む分、作品作りが設計の段階からして変わってくるんですよね。

 

たとえば、手縫いだとカバンなどの大物なんかを作るのは非常に気合いが要るわけですよ。

当然縫う距離も相当な長さになるわけで、しかもその下準備のステッチンググルーバーがけ、そして菱目打ちでの穴あけ等、これらも含めると本当に膨大な量の作業量。

 

そんなふうに、ただでさえ大変な大物の製作にあたって、手縫いで「飾りステッチ」を入れようという気には中々ならないじゃないですか。

それがミシンだったら気軽にダダーッと縫えちゃうので、「これ付けてみようかな」「ここにステッチ入れてみようかな」というアイデアも躊躇なく投入していけるわけです。

 

 

縫い目がキレイ

いやいや手縫いのほうがキレイな縫い目が出るだろ、という方もいますが、

ぶっちゃけ初心者の段階では圧倒的にミシンの方が綺麗な縫い目が出ます。

 

正直、手縫いでミシン並みの縫い目を出そうと思えば、相当な根気と技術、あとは道具の工夫が必要というのは事実かと。

その点ミシンならば、最初に調整さえしてしまえば後は誰が縫っても同じように綺麗な縫い目になるわけです。これは非常に大きい。

 

もちろん、そのためには針・糸の選定や調整が大事なんですが、それもそんなに難しい事じゃないです。まあ、そのあたりはまた追々書いていきたいと思います。

 

 

手縫いの良さ

しかし、もちろんですが手縫いにも良い所はいっぱいあります。

 

何と言っても「少ない道具で」「手軽に始められる所」は手縫いの大きなメリット。

そして、それがゆえに作品の自由度も高く、物理的に破綻の無い形状であればどんなものでも製作ができます。

 

一方、ミシンは縫える場所・形状等というのがどうしても限定されますからね。

 

ですが、下の写真のような「腕ミシン」であれば、

dsu1457

 

かなーり細かい所まで縫う事が出来ます。

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革用ミシンのここが気になる

値段が高い

そう、ミシンがいくら便利とは言っても

「でもお高いんでしょ?」

まずはそれが気になりますよね。

 

実際、レザーを縫えるようなミシンって、家庭用ミシンではなく工業用ミシンになるので、そりゃ新品買おうと思ったらウン十万円です。

※いやいや、家庭用ミシンでも職業用ミシンでもレザーは縫えるわい!!という方の意見はとりあえず置いておきましょう。その点については後篇で詳しく触れて行きます。

 

ただ、私自身も中古でミシン買いましたが、ぶっちゃけ中古で何の問題も無いです。

※もちろん、ソコソコ状態のいいものを選ぶというのは前提です

 

でもって、中古ならオークション含めれば数万円~で購入が可能。

 

こういう工業用ミシンというのはとにかく頑丈な “鉄の塊” なので、趣味に使う分にはそれこそ一生モンなんですよね。

家庭用ミシンは結構頻繁に壊れるので、あのイメージで「ミシン=壊れやすい」と思ってる方もいらっしゃいますが、ハッキリ言って工業用のミシンは別モノです。あんなもんまず壊れませんし、ていうか壊れる場所自体がほとんど無いですから。

※とはいえ、繰り返しますがある程度の状態チェックは必須ですからね!

 

中古ミシンは危険?

工業用ミシンの構造

で、ちょっと話は逸れるんですが。

そもそもの話として、ミシンというのは「機械仕掛け」なんですよ。

 

え?電気で動くのに?

と思われた方、それはそうなんですが、ちょっと思い起こしてもらいたいのが、昔はミシンなんて全部「足踏みミシン」だったわけです。結局その動力が「足」から「モータ」へ変わっただけ。

ミシンの構造自体は全く変わってません。

 

つまり我々が目にする、いわゆるミシンというのは

ミシン+モータ

この2つが組み合わさったものなわけです。

 

で、ミシン本体はあくまで機械仕掛けであり、特に工業用ミシンなんざ「ミシン本体」が壊れる事なんかまずありません。

 

あとはモータですが、これはミシンよりかは壊れやすいのは確かです。

しかし、先程も説明した通り、ミシンとモータとは完璧に別々なんですよね。

 

なので、仮にモータが壊れてもモータを替えるか修理すれば良いだけの事。

ミシン自体はそれこそ一生モンです。

 

でね、たまーに

「中古ミシンは後々高くつくよ!」
「古いものはパーツも出ないよ!」

という感じのことをいう人がいるんですけど。

 

ハッキリ言って

あれウソなんで聞かなくていいです。

ただの業者かなんかです。

 

そりゃー朽ち果てる寸前みたいなボロミシンは修理不可能かもしれませんし、そういう中古ミシンに付いてるような、ボロッボロの年代物サーボモータを修理しようと思えば「パーツは出ない」かもしれません。

 

ただですね、そもそもそんなクソ古いモータを直して使う理由が無いんですよ。

普通に今の新しいモータに交換すればよろし。

 

でもって、これ言うとマジで業者さんに怒鳴られるかもしれませんがw、

実はサーボモータって、今は中国製で安くて普通に使えるモノがあるんですよね。

 

これなら新品で3~4万円で買えます。

サーボモータなのでペダルの踏み具合で極低速でゆ~っくりも縫えますし、音も静かだし、パワフルだし。私自身もこのテの中華製サーボモータ3年以上使い続けていますが、なーんの問題も無いです。

 

さて、要するにまとめますと、

「工業用ミシン“本体”はまず壊れない」。

それなりに状態の良い物を買えば一生モンです。

 

あとはもう、安いサーボモーターを買ってくるだけ。

これだけで快適に革が縫えて、末永く使える相棒が出来ます。

 

 

でまあ話を戻しましてw、

ミシンのネックになる点の解説のつづきをば。

 

使い方が難しい?

実際、工業用ミシンの使い方とかって情報が非常に少ないですよね。ただ基本的な使い方としては案外カンタンなもので。慣れれば全然どうってことないですよ。

糸の通し方は家庭用ミシンとほぼ同じだし(一部例外有り)、ネット見ればいくらでも情報が出てきます。あとはもうただフットペダル踏むだけ。

 

難しいのは内部の調整ですが、ぶっちゃけ釜調整とかまで自分でやろうと思わなければ良い事なので、そのへんはアッサリとプロにまかせてしましょう。

そういった調整も一度やってしまえば後は何年もいじらなくていいので、普段のメンテとしては油をさすぐらいでOKです。

 

置く場所に困る?

これはどうしようもないかな(笑)

 

音がうるさそう?

この点はサーボモータ使えば問題無いです。

工業用ミシンがウルサイというイメージが有るのはクラッチモータのせい。サーボモータなら家庭用ミシンと変わらない騒音レベルです。

 

スピードが怖い・・・

これもサーボモータで解決。

よくある工業用ミシンの動画とかだと、もう何かカメラで捉えきれないぐらいのスピードで動いてて「何これ(絶句)」みたいな。いやいやこんなの絶対扱えないじゃん!って感じなんですけども、あれもやっぱりクラッチモータです。

 

で、クラッチモータだから速いってわけじゃなくて、クラッチモータは「速度の調節がすごく難しい」んですよ。その点サーボモータならペダルを踏んだ分だけスピードが出ますので、家庭用ミシンと同じ感覚で使えます。

トップスピードも自由に調整できるので、ペダルベタ踏みの最速時でもゆ~っくりしたスピードで動いて欲しいなど、そういう要望にも応えられるハイテクなモータ。

 

というわけで、後編では更に詳しい工業用ミシンの解説と、そして実際にミシンを選ぶポイントについて書いていきたいと思います。

 

 

手縫いの教科書

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